JCVの議会中継
再開にむけての見解

2000年9月1日
日本共産党上越市議会議員団

 情報公開の時代であります。まして上越市は、「開かれた市政」を標榜し、議会もまた、情報公開に積極的に取り組んできたところであります。議会の公開という場合、本来、本会議や委員会での審議は、単に「傍聴ができる」というにとどまらず、議会側から積極的に情報発信して行くべきものです。それこそが、本当の意味での情報公開です。報道の自由は、情報公開の柱である市民の知る権利を保障する手段の一つでもあります。JCVの議会中継は、議会側から見れば、積極的な情報公開という意味合いも持っているのです。現状は、議会側から、その門戸を閉ざしてしまったということではないでしょうか。
 こうした事態に際し、日本共産党上越市議会議員団は、これまでの経過、議会側の許可条件及び8月21日各派代表者会議に示された「議長メモ」、JCVの言い分などを改めて再検討しました。以下に見解を述べます。

● 経過
 平成8年6月24日に更新した「上越市議会の中継放送許可期間更新について」(以下「旧許可書」という)の許可期間が平成12年3月31日に満了することから、3月16日付けで上越ケーブルビジョン鰍ゥら更新申請が出されました。
 上越市議会は、3月28日付けで「旧許可書」では5項目だった許可条件を8項目に増やした上、たくさんの規制を盛り込んだ「上越市議会の中継放送許可更新について」(以下「新許可書」という)を上越ケーブルビジョン鰍ノ発しました。
 これに対し、上越ケーブルビジョン鰍ゥらは、3月31日付けで、3項目に渡って理由を付して「報道の自由その他憲法上の権利を侵害する極めて不適当なもの」とする「市議会中継放送許可更新の条件について」(以下「JCV回答」という)が送付されてきました。
 その後、5月26日付けで上越市議会からJCVに対して「許可書(上越第235号)」が出されましたが、JCVからは5月29日付けで「再考をお願いした条件がそのままであり」「再考いただくまで議会中継放送を差し控えさせていただきます」との文書(以下「再回答」)が送られてきました。
 以上の結果、議会中継放送が中断したのであります。
 その後も、議会とJCVとの間でやり取りがあり、8月21日の各派代表者会議で「JCVの議会中継放送に対する許可条件について(議長メモ)」(以下「議長メモ」という)が示されましたが、このままでは事態は打開せず、中継放送中断が継続することになります。

●報道の自由について
 議会の情報公開という点から考えますと、形式的には「カメラハウスや録音室、集音設備を使用する議会中継という特別な申請に基づき、特別な便宜を与えて許可してきた」(「議長メモ」)わけですが、実態的には、議会としての情報公開のために、「カメラハウスや録音室、集音設備を使用」させて議会中継をしてもらってきたということでもあります。
 「新許可書」の許可条件は、本当に報道の自由を侵すものではないのでしょうか。いかなる形であれ、報道機関が取材したものを、その報道機関の責任のもとで報道することを制限することは、報道の自由を侵すことになります。「新許可書」の許可条件は、まさに、報道に制限を加えようとするものであり、JCVの二つの回答が指摘しているように、報道の自由を侵すものと言わざるを得ません。

●編集権について、ノーカットの報道について
 報道機関が取材したものを自らの判断で編集する編集権は、報道の自由のいっかんをなすものです。編集というのは、カットしたり繋ぎ合わせたりすることだけではありません。「ノーカットで行う」こともまた編集権の内容であり、プライバシーに関わる部分を報道しないというのもまた編集権の中味であります。
 「議長メモ」では、「編集せずノーカットで行う」ことが、「これまでJCVが行ってきたことを有りのまま表現したものに過ぎない」と述べておりますが、ノーカットで放映されてきたのは、ノーカットという編集を行った結果と見るべきです。「旧契約書」のように、「中継放送は、公平とすること」で充分かつ妥当です。「新契約書」の条件は、カットしてはならないという制約であり、まさに編集権の制限です。

●議会の決定遵守ということについて
 「新契約書」では、「ノーカットで行う」とした上、但し書きとして「議会が決定した場合は、その決定を遵守する」と付言しています。JCVは二つの回答書で、「予めこのようなお約束をすることは…できません」としています。
 「議長メモ」はこのことについて、「『議会の決定』とは、議会が発言取り消しや秘密会など議会上の決定をいっているのであり、放送カットなどJCVの編集権に立ち入ることを考えているものではない」と弁明しています。
 「議会の決定」が、もし「秘密会」を指すのであれば、「会議が秘密会となった場合」と銘記すればよいのであります。しかしながら、「秘密会」とは、傍聴者やマスコミを排除して行う会議のことであって、わざわざ断り書きを入れるまでもないものです。
 しかし、「発言取り消し」は、秘密会とは異質であります。実況中継では、あとで「発言取り消し」された部分も含めて報道されます。それを再放送の場合にカットすることを義務付けるということは、まさに編集権の制限です。その上、視聴者が実況中継を録画していることが考えられます。この録画は当然「ノーカット」であり、報道機関にのみカットを義務付けることは問題です。
 なお付言すれば、これまでの発言取り消しは、形式的には、議員が自発的に自らの発言を取り消したものです。「議会が発言を取り消した場合」に該当すると思われるのは、議員本人が発言取り消しを拒否したために、議長が職権で取り消す場合が考えられますが、これも「議会が発言を取り消した場合」とは厳密には異なります。事実上、「議会が発言を取り消した場合」は存在しません。
 そして議員本人が発言を取り消した場合、報道機関が収録したものから当該部分を削除することを要求するか否かは、議会の権限ではなく、議員個人の権限であります。

●結論
 以上の結論として、上越市議会が出した「新許可書」の「許可条件」は、報道の自由、これを構成する編集権や番組編成権を制約する部分を多々含んでいるといわざるを得ません。そうである以上、中継再開のためには、議会側からアクションを起こし、報道の自由を制限する許可条件を削除して、再提示すべきであります。
 議会として、中継再開にむけて努力すべきです。

以上