業者の生の声を聞いた対策を

十二月議会での杉本敏宏議員の一般質問(大要)

地域経済の主役としての中小企業

 中小企業は日本経済の主役であり、地域経済の主役です。その中小企業が長期の不況の中で、危機にさらされているわけですから、行政が今こそ手を差し伸べるべきだと思います。

 わたしは、中小企業対策について、議員になって以来、数回にわたって取り上げてまいりまLた。ここが活性化しない限り、地域経済の活性化はありえないと考えるからです。そして施策の重点を「大きいところが伸びればその波及効果で中小も潤う」というようなやり方から脱却して、中小企業を直接対象とした施策の提起も行って、その実施も求めてまいりました。

 今まさに、中小企業に対して、地域経済の主役にふさわしい対策を講じる必要があるのではないでしょうか。直接業者の懐を暖めるような施策、業界団体を通じてではなくて、業者の生の声を聞いて、経営相談にも乗れるような施策が求められていると思います。

経済状況をどう把握しているか

 一つ目は、『現在の中小企業を取り巻く経済状況をどのように把握しておられるか』ということです。

 日本経済は、政府の景気対策にもかかわらず、なかなか回復の兆しが見えない状況です。県内では、新潟中央銀行の破綻、レック三和の倒産などがあり、市内でも、衣料品の老舗が閉店し、繊維関連の倒産も起きております。今朝の新聞に、長野工務店が再び不渡りを出したと報道されております。また、高田の木町通などの空き店舗も減る傾向にはありません。国民生活金融公庫の7月〜9月までの商況調査によれば、昨年同期比較して、「売上げが減少した」が、71.3%にも上っており、2年連続で7割以上の企業が、売上げが減少しているという状況です。

 こうした状況を見ると、まだまだこの上越地域は不況の真っ只中というのが実態ではないかと思いますが、市長の見解を伺いたいと思います。

援助体制を整えるべきではないか

 二つ目の質問は、「技衛相談や経営相談、契約や市場開拓などの援助体制を整えるべきではないか」という問題です。

 わたしは、以前から、無担保無保証人の市独自の融資制度という政策提起も行ってきました。この間、上越市の融資制度は、枠の増額や、各種条件が緩和されましたが、今後も大いに進めていく必要があると思います。

【東京・墨田区の取り組み】

 2ヶ月ほど前、わたしもこの議場で何回か紹介してきた東京都墨田区の取り組みが、テレビで紹介されました。この取り組みは、11月2日に行われた衆議院本会議でわが党の不破委員長が、「政治が中小企業のため、何をやれるかを見る上で、国政でもおおいに参考になる」といって、政府に検討を迫ったものです。

 墨田区での取り組みは、昨年の10月から今年の3月にかけて、部課を問わず71人の幹部職員が区内中小企業への発注元である首都圏の取引先408の企業を訪問して、発注の要請を行い、実際に68件の発注があつたというものです。

【東大阪市の例】

 もう一つ、関西の代表的な中小企業の町である東大阪市の例を紹介したいと思います。

 この市では、今年の10月12日から、3万を越える市内の全事業所の実態調査をはじめました。約580人の課長級以上の職員が直接事業所を訪問して、聞き取りと事前に送付した調査表の回収を行うというものです。実施本部長の長尾市長先頭に訪問調査を行つており、事業所からたいへん歓迎されているといいます。

 二つの先進的な事例を紹介しましたが、今こそこういう施策「実行ある対策を立てるには、まずその実態を知ることからはじめる」ことが必要と思います。以前にも、「悉皆調査をするべき」と質したことがありますが、市長は、「地廻りをせよというのか」と反応をされました。改めて市長の見解をお聞きしたいと思います。

もういらない大型店

 三つ目の資問は、「大型店の出店を押さえるべきではないか」という問題であります。

 国民生活金融公庫の7〜9商況調査では、来客数の減少(37.6%〉、競合の激化〈22.4%)を売上げ減少の理由としてあげています。合わせて60.0%です。

 「競合する地元大型店が販促を実施しており、消費者が生活防衛意識を強め、限られたバイがさらに縮小し、ますます競争が激しくなっている」、「大型店の安売りについて行けません」、この商況調査に載った業者の生の声です。

 以前にも指摘しましたが、上越は、全国的な不況の上にこのような大型店進出による影響が色濃く現れている所です。地域経済活性化のためには、「もうこれ以上の大型店の出店を押さえるべきではないか」と考えます。市長の考えをお聞かせください。

職業系学科廃止

 四つ目の質問は、新潟県の高校再編計画が職業系の学科を廃止しようとしていることについてであります。商業、工業、農業などの職業系の高校や普通高校に併設された職業系の学科は、地域の中小企業や地場産業の発展に大きな役割を果たしてきました。

 新潟県は、10月に高校再編計画として、来年4月からの直江津高校商業科の廃止を発表しました。吉川高校の醸造科の廃止が大問題になり、いま町を挙げて存続運動が行われております。県の計画は、職業系の学科、高校を切り捨て、普通高校にシフトしていく方針で、地域の実情を考慮していない、あまりにも無謀なものです。

 職業系の学科や高校を切り捨ては、中小企業の振興、地場産業の発展に、まったくマイナスです。市長のお考えをお聞かせください。

【市長答弁】

【経済状況について】

 当市の景気については、10月に1473社を対象に実施した景気動向調査によれば、全産業の売上高についての前年同期の平均増減率は、今年の10〜12月期の見込みでは、マイナスI.9%と横ばいだが、昨年来毎期マイナス幅の減少が続いており、売上高の下げどまり感は、着実に広がっている。建設業や個人消費に力強さが欠けており、今しばらく不安定感の強い状況が続くものと認識している。

【支援体制について】

 中小企業金融相談室を設置し、経営基盤の弱い中小企業の支援してきた。技術相談は、県の新潟県工業技術総合研究所上越技術支援センターで専門技術スタッフによる指導を重点に、依頼試験や技術開発に関する情報提供が実施されている。経営相談は、上越商工会議所の中小企業相談所で専門の経営指導員により会社経営全般にわたる相談業務・経営指導が実施されており、市が支援している。また、契約や市場開拓などは、他地域の中小企業ともネットワークを構築し、中小企業と産学官の連携で、上越地場産業ネットワーク交流会が組織されており、市が支援している。

【大型店について】

 当市の大規模小売店舗は、平成11年12月1日現在で38店、店舗面積が16万4250uで、占有率は65.5%。大型店同志の競合が顕在化し、大型店の撤退が数多く見られる。当市の規模から見てこれ以上の大型店の必要性について考える必要がある。

 大型店と既存商店街が、それぞれ特徴を出し合い、不足する部分を補い合いながら共存共栄の方策を探っていくことが、もっとも重要ではないか。

【職業系高校についモ】

直江津高校商業学科の募集停止は、上越市としては、市内に高田商業高校があること、中学校卒業生徒が今後も減少する傾向にあること、保護者のニーズなどを踏まえ、やむを得ない措置と考えている。

 中小企業と地場産業の振興上必要な専門性が求められる人材については、新潟県立上越テクノスクールや当市の上越人材ハイスクールによつても確保されており、今のところご心配に当たらない。

裏面に続く

【杉本議員の再質問】

【実態とかけ離れていませんか】

 市長は、政府の経済見通し、月例報告を示して、回復基調と言うが、業者の方々の実感はそうではないと思います。「業者に直接話しを聞く」という東大阪の例などをお話しした眼目はまさにそこにあります。政府発表に頼るのではなく、一軒一軒訪問し、業者の方々がどういうふうに今の状況を感じ、どんな助けを求めているのかをきちっと掌握することが、対策のまず第一ではないか。業者の方の感覚と比べて、ここの経済状況はどうなのかという観点からご答弁いただければと思います。

 国民生活金融公庫の商況調査では、「資金繰りが苦しくなった」という企業が、昨年の10〜12月期からずっと3割を超えています。これが実態です。

 貸し渋りの問題も、業者の方々の借り入れの実感からすると、まだ15%近くの人達が、前年度よりも困難になったといわれているわけですから、そうとう厳しい状況があるんではないかと思います。

 そういつた実態について、市としてまた市長として、どのように把握し、考えておられるのか、あらためてご答弁をいただきたいと思います。

【行政の直接の支援が必要では】

 中小企業への支援の問題ですが、これも96年の9月議会で紹介しましたが、墨田中小企業センターというのがあります。市場開拓を始め、技術相談、経営相談、融資相談も行い、下請け相談は、専門の職員が、取引の斡旋や巡回訪問指導なども行います。自分の区内にある業者の方々の営業・経営、ここに踏みこんだ相談を行政が直接行っているのが特徴です。

 上越市の場合は、いずれも、商工会議所を通してとか、あそこに支援しているとかであり、行政が直接業者を支援をしていません。

【実態把握がカギです】

 墨田区では、区内の約8000の企業について、業者の設備、設備能力等々、各企業の詳細なデータを蓄積しています。こういう仕事を取ってくればこの会社へ発注できるということを行政が把握している。商工会議所ももちろん把握しているでしょうが、行政自身が直接掌握して支援体制を取っているのです。

 その実態把握のきっかけは、これも以前紹介しましたが、1977年(昭和52年)に、9300の企業を対象に、区の係長職165人が3ケ月かけて直接聞き取り調査を行ったことです。これが基になって、木目細かな対策を取っている。東大阪は、この墨田区の例に学んだんだといっております。

 我々議員も視察しますが、先進地のいいものは取り入れるというところに意味があるわけです。「日本で初めて」とか、「最初に何かをやった」というのはもちろん大事なことですが、上越市もこういう進んだ経験はおおいに取り入れていただきたいと思いますが、あらためて市長の見解を伺いたいと思います。

【中小企業予算と支援体制は】

 中小企業対策を本格的に進めようとすると、体制と予算の問題が出てきます。

 墨田区では、中小企業センターだけで、年間予算が3億3千万、常勤職員が10人、非常勤の相談員が18人、あわせて28名、本庁にいる人も含めると全体で80名ほどの体制になっている。わが上越市は、通産起業課の職員全員を合わせても到底これに及ばない状況です。

 貸付金を除いた中小企業振興予算、墨田区では99年度で約20億円、一般会計の2%です。上越市は、貸付金を全部はずして見ますと、6700万円、総予算の0.13%でしかありません。

 先進的な取り組みをしているところと比べると、大幅な拡充が必要ではないかと思いますが、市長のお考えをあらためてお闘きしたいと思います。

【べンチャー支援だけで良いのか】

 答弁の中で、「べンチャー」という言葉が度々出てきました。中小企業、零細企業も含めて全国に650万の企業がある中で、べンチャー企業は1万社程度、比率で0.15%です。650社に1社の比率です。

 上越市の中小企業対策がべンチャー対策にシフトしているのではないか。そうすると、既存の中小企業、地場産業対策が、おろそかになる心配があります。

 もちろん、新たに会社を起こす方々に対する対策も必要です。しかし、今ある企業や商店が、この不況と大型店の進出で苦しんでいるわけですから、ここにもっと本格的な手を差し伸べる必要があるんではないか。市の組織も、既存の企業の対策を十分やれるような体制に切り替える必要があるのではないかと思いますが、市長のご見解があればお示しください。

【大型店はいらないという方向で】

 大型店の出店の問題、「もうこれ以上」ということ言われましたので、ぜひその方向で進めていただきたいと思います。

【各種学校があれぱいいか】

 高校再編計画の問題で、テクノスクールだとかがあつて、そんなに不自由しないみたいな内容のお話しがありました。高校教育の地域経済に果たす役割は、非常に大きいと思います。各種技術系の学校があるからいいではないかと言うことですますのではなくて、こういう学科・高校の存続をぜひとも市長としても県の方に、声を大にして働きかけていただきたいと思います。その点でもご答弁をいただければと思います。

【市長再答弁】

【聞いてもできないと不信買う】

 数字ってのは、全体を纏め上げた結果。個々の事業者、中小企業者の方々が感ずるのは、その事業所ごと、企業ごとに感ずるものだから、トータルと乖離するのは当然。

 専門的な調査機関に依頼してやっている。廻って一軒一軒訪問しても、聞いたけれど何もできなかったということで逆に行政不信を買う恐れもある。聞いて話しが済むんだったらそりゃあ、その方がいいでしょう。しかし実際はそうじゃないと思う。

【リスクが活性化につながる】

 国は自由主義経済社会を標傍している。当然そこにはリスクがあり、そのことが実は活性化に繁がっている。おかしくなったらみんな行政に責任が行くということになったら、これは共産国家になってしまうわけです。あくまでも自主的に、市場原理の基で経済活動を行い、いろんな景気変動の中で、どう対応するかってことが、自らの経営リスク、経営感覚でやっていくことがまず第一であって、その上に立って、社会的に公平あるいは平等とか弱者救済とかっていう、そういう観点で税金をもって行政が関与していくということです。

 そういう中で、意向・実態を調査する手法においても、直接ヒヤリングするという方法と、専門機関で景気動向を調べるという、両方あってもいいとわたし思ってます。

【連携してやっている】

 中小企業に対する支援策については、墨田区が行政が相当の予算あるいはスタッフをもってやっているとおっしゃいますが、他の分野もトータルで見ないと、正しい評価がやれないと思ってます。

 工業技術総合研究所で上越にセンターがあり、そこで同種の対応をしている。何もしていないってわけではないんでありまして、つまり役割分担、そういったものについては県の技術センターで、そして商工会議所も前に出てやってく、そこに連携とってやるということも、これも立派な対応の仕方であり、これは何も否定する必要もないし、あたかもそれはいかがなものかということは、いわれるものではないと思っております。

【先進都市の取り組みしている】

 いずれにしても、経済問題については、複合的に絡んでくるわけでありますから、点的なところを取り上げて強烈にそういったことを主張されても、なかなか全体を視野にするわけにいかないってことであるわけであります。

 全国にもめずらしい取り組みとしてご紹介申し上げますが、雇用対策、中小企業に対する雇用環境整備、中小企業のある面での相談も含めながら、シテイワークサポートセンターを立ち上げを。まさにこういったことが先進都市にふさわしいそういう取り組みでありますから、いろんな紹介がきていると思います。予算が多ければすべていいか。少なきゃ全てだめということではないわけですね。いろんな手当を講じながら、総合的にその町が活力があるようなそういう環境をどう作るかということが、まさに自治体経営の真髄であると思ってますもので、そのような視点でこれからも取り組んでいきたいとこう思つております。

【学校再編、むしろ推進すべき】

 高校の再編はやむを得ないというということで、不自由しないということをいったつもりはないんです。

 むしろ新しい産業構造を構造変化をもたらしていかないと日本の再生はないって位いわれてますから、教育現場についても従来の枠組みにこだわらずに再編をして活力をつけるよラなそういう学校再編ということは、むしろ推し進めて行ってもいいと思っています。従来の枠組みから脱却する中で新しい展開をむしろ講じて行った方が、いまのニーズに合うような教育体制になっていくんではないかなと思ってます。決して、県当局も後向きにやってるとは思っていませんが、わたし自身は前向きにあるだろうとこういう期待感を寄せております。

 将来の中小企業の育成。振興につながるような教育のあり方についてもこれから学ぶ中で提言できるようなことがあれば提言したい。高校の世界は自分の範囲じゃないとはいえ、わたしどもの大事な子弟を教育するということにおいてはきちんと対応して行かなきゃならんなとこう思っております。