三つ目でありますけれども、今の枠組みでは、三セク経営が赤字になる、不安定になる、これはもう明らかでありますから、それを乗り越えていくためにはどんな取り組みをしなければならないか、ということであります。
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昨年の6月18日、県議会の総務文教委員会で、「並行在来線の経営に関する概略調査の結果について」という報告がなされました。「たくさんの試算をした」とこの中には書かれています。それでその中で、「一番有利なのは青森方式だ」というふうにいわれているわけですが、しかし青森方式でやっても、信越線は113%から135%くらいの値上げをする、北陸線に至っては130%から175%でしたかね、くらいまでの値上げを考える、それで、それをやっても30年間のトータルで最低で77億六千万円の赤字、最大では500億くらいの赤字というのが県の試算であります。これを三セクで受けなければならないわけであります。
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もともと国鉄時代からずっとそうでありますけれども、鉄道というのは、普通列車と優等列車、特急とか急行とかですね、こういう二本立てになっていて、優等列車で稼いだ金で、普通列車の運行を支えているというのが、経営の実態であります。その特急列車がなくなれば、採算が取れなくなるというのは当たり前のことです。しかし皆さんもご承知だと思いますが、並行在来線というのは、「新幹線の開業により特急列車が新幹線に移る線」というふうにいわれておりまして、この提言の一番初めに書かれていることでもあります。ですから新幹線ができますと、信越線それから北陸線の特急列車は、いっさいなくなります。これが大前提であります。ですからそういう意味からすれば、新幹線が走れば特急列車、金儲けの部分がなくなるわけでありますから、赤字しか残らないというのは当たり前のことなんです。だから、平山さんは渋ったわけです。しかしまあ、そうはいっても、新幹線は着工、今工事を進めているわけであります。
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それで、この提言の中では、「経営分離をすると鉄道事業が4分の3に減少する」というふうに予測をしておりまして、ですから存続に対してたいへんな危機感をもっているというのが、この懇談会の提言であります。現状分析して、4つの課題と27のプロジェクトを提起しております。私は全部賛成するわけではありませんけれども、多くのところで私の問題意識と共通する部分がありまして、これはやはりやるべき問題だろうと思っております。
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『今の枠組みでは、どうやっても採算が取れない』これはもうあらゆる面から明らかであります。ですから、この枠組みを何とかしないと、どうにもならないわけであります。そういう点で、どうするかということでありますが、まず国とJRの責任で採算が取れるように、もう一度枠組みを考え直してもらう、これが必要だと思います。
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そのためにいくつかの点をお話したいと思いますが、一つは、並行在来線を継承するために生じる巨額の初期投資に対して、交付金の創設など財政支援の制度化を国に働きかけること、これがまず第一であります。
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そして二つ目、鉄道資産は、無償譲渡とするよう国とJRに要求する。しなの鉄道は確か、これ有償だったかと思います。有償ですと、その分のお金が後々ひびいてくるわけです。
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それから、収益性の高い優等列車が新幹線に移行すれば、赤字化は避けられないわけでありますから、経営が安定するまでの間、国に財政支援措置を求める必要があるのではないか。
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そして四つ目、比較的収益性が高い区間を分離しないなどということがないよう、働きかける必要があります。ご承知のように、篠ノ井〜長野間は、しなの鉄道ではなくてJRに残されました。もしもここの場所で、直江津〜新幹線新駅の間が、移譲されなくてJRに残されたら、悪い採算がさらに悪くなるというのは目に見えるわけであります。
ですからそういうことにならないように、頑張っていただきたいと思うわけでありますが、以上四つの点で、働きかけをするお考えがあるかどうか、お聞きをしたいと思います。 |
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