2001年6月定例議会
一般質問原稿


2001年6月12日

1.市職員のサービス残業をなくすことについて

 市職員のサービス残業をなくすことについて質問します。
 市職員の残業問題については、これまで議員になった最初の年の総務常任委員会を初め、何度か論議してきました。その結果、時間外労働手当は半減しました。しかし、手当が減少したことと残業が減少したこととはまったく別のことです。そのことは、丁度1年前の昨年6月議会での質問に対して、「課長の命令がない残業は、残業とは認めない。居残りであって手当は払わない。」との答弁がありましたが、これは、残業手当が支払われない、課長の命令のない残業があるという実態を認めたことでもありました。こうした残業のことを世間では、ごく当たり前に「サービス残業」というのであります。そうした論戦を踏まえて質問したいと思います。
 さて、国は今年4月6日に、昨年11月30日に開かれた中央労働基準審議会の建議を受けて、「労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関する基準」という厚生労働省の通達を発し、「あらゆる機会を通じて本基準の周知を図り、その遵守のための適切な指導を行う」としています。
 ちなみにこの通達は、冒頭次のように述べております。

 労働基準法においては、労働時間、休日、深夜業等について規定を設けていることから、使用者は、労働時間を適正に把握するなど労働時間を適切に管理する責務を有していることは明らかである。
 しかしながら、現状をみると、労働時間の把握に係る自己申告制(労働者が自己の労働時間を自主的に申告することにより労働時間を把握するもの。以下同じ。)の不適正な運用に伴い、割増賃金の未払いや過重な長時間労働といった問題が生じているなど、使用者が労働時間を適切に管理していない状況もみられるところである。
 こうした中で、中央労働基準審議会においても平成12年11月30日に「時間外・休日・深夜労働の割増賃金を含めた賃金を全額支払うなど労働基準法の規定に違反しないようにするため、使用者が始業、終業時刻を把握し、労働時間を管理することを同法が当然の前提としていることから、この前提を改めて明確にし、始業、終業時刻の把握に関して、事業主が講ずべき措置を明らかにした上で適切な指導を行うなど、現行法の履行を確保する観点から所要の措置を講ずることが適当である。」との建議がなされたところである。
 このため、本基準において、労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置を具体的に明らかにすることにより、労働時間の適切な管理の促進を図り、もって労働基準法の遵守に資するものとする。

 新潟県は、5日の県議会景気・雇用対策特別委員会で、わが党の五十嵐完二県議の質問に答え、サービス残業の実態調査を検討することを表明しました。私は、上越市も同様の実態調査を行う必要があると思いますが、その前にお膝元である市職員のサービス残業についての実態調査と解消が急務と考えます。
 そこで以下、6点にわたって具体的に質問します。

(1)労基法上、使用者には労働時間の管理を適切に行う責務があるが、市としてどのように考えているか。

 民間企業で、過大なノルマの押し付けがあり、その処理を時間外に行っても、割増賃金だけでなく本体賃金も支払わない風潮があり、それが過労死の頻発につながっていることから、厚労省の通達が出されたのであります。民間でのこうしたサービス残業もまた、「自主残業」とか「居残り」といわれ、残業手当の不払いの理由付けになっているのであります。
 ご承知のように、週40時間労働を定めた労働基準法第32条の規定以上に労働させた場合、あるいは、同法第37条の割増賃金を支払わなかった場合は、「6箇月以下の懲役又は30万円以下の罰金に処する」と、同法第119条に規定されております。明らかな犯罪であります。
第121条第2項
 事業主が違反の計画を知りその防止に必要な措置を講じなかつた場合、違反行為を知り、その是正に必要な措置を講じなかつた場合又は違反を教唆した場合においては、事業主も行為者として罰する。

 厚労省の通達でも述べておりますが、労基法上、使用者には労働時間の管理を適切に行う責務があります。市はこの責務をどのように考え、果たそうとしているのでしょうか。お答えください。

(2)厚生労働省は、労基法適用除外の労働者に対しても、健康確保を図る必要から、使用者に適正な労働時間管理を行う責務があることを指導しているが、どのように考えているか。

 使用者が労働時間の管理をしなければならない対象は、労働基準法のうち労働時間に係る規定が適用される全ての事業場であり、いわゆる管理監督者及びみなし労働時間制が適用される労働者すべてです。厚生労働省はこれに加え、「本基準の適用から除外する労働者(管理監督者及びみなし労働時間制が適用される労働者)についても、健康確保を図る必要があることから、使用者において適正な労働時間管理を行う責務があること」と強調し、指導しております。
 市は、このような厚労省の指導をどのように考え、実行しようとしているか、お答えください。

(3)「課長の命令がない残業」についても、使用者としての管理責任があるのではないか。

 昨年の一般質問への答弁で、「課長の命令のない残業」は、「居残り」であり、時間外勤務手当は支払わないと言明されました。
 しかし、使用者が労働時間の管理をしなければならない対象が、管理監督者及びみなし労働時間制が適用される労働者をも含んだ全労働者の全労働時間でありますから、「課長の命令のない残業」についても、使用者としての管理責任があるものといえます。市はどのようにお考えでしょうか。
 残業手当を払わないから、労働時間管理をしないでよいとはならないと思うのであります。

(4)現場責任者が、「課長の命令がない残業」を現認した場合、どのような措置を取っているか。

 さて、「課長の命令がない残業」が存在することは、市も認めているところであります。それでは、課長がこの「課長の命令のない残業」を現認した場合、どのような措置を取っているのでしょうか。直ちにやめさせて帰宅させるか、追認して続けさせるかのどちらかではないでしょうか。見て見ぬふりをするというのは、追認を意味するのは当然であります。市の措置についてお答えください。

(5)厚生労働省が、始業・就業時間を確認する具体的な方法を例示しているが、どのような方法をとっているか。

 冒頭に紹介しました厚労省の通達「労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関する基準」が通達されたのは、労働時間が適正に把握されていない事例が多く見受けられるからです。そこで厚労省は、始業・就業時間を確認する具体的な方法を例示し、使用者に措置を講ずるように求めているのであります。
 一つは、「労働者の労働日ごとの始業・終業時刻を確認し、記録すること」を使用者に義務付けています。
 二つ目は、始業・終業時刻を確認し、記録する方法ですが、
ア 使用者が、自ら現認することにより確認し、記録すること。
イ タイムカード、ICカード等の客観的な記録を基礎として確認し、記録すること。
を、原則的方法として例示しています。
 そして三つ目に、自己申告制による場合の措置を示しているのであります。
 市は、どのような方法で確認し記録しているのでしょうか。

(1)始業・終業時刻の確認及び記録
 使用者は、労働時間を適正に管理するため、労働者の労働日ごとの始業・ 終業時刻を確認し、これを記録すること。
(2)始業・終業時刻の確認及び記録の原則的な方法
 使用者が始業・終業時刻を確認し、記録する方法としては、原則として次のいずれかの方法によること。
ア 使用者が、自ら現認することにより確認し、記録すること。
イ タイムカード、ICカード等の客観的な記録を基礎として確認し、記録すること。
(3)自己申告制により始業・終業時刻の確認及び記録を行う場合の措置
 上記(2)の方法によることなく、自己申告制によりこれを行わざるを得ない場合、使用者は次の措置を講ずること。
ア 自己申告制を導入する前に、その対象となる労働者に対して、労働時間の実態を正しく記録し、適正に自己申告を行うことなどについて十分な説明を行うこと。
イ 自己申告により把握した労働時間が実際の労働時間と合致しているか否かについて、必要に応じて実態調査を実施すること。
ウ 労働者の労働時間の適正な申告を阻害する目的で時間外労働時間数の上限を設定するなどの措置を講じないこと。また、時間外労働時間の削減のための社内通達や時間外労働手当の定額払等労働時間に係る事業場の措置が、労働者の労働時間の適正な申告を阻害する要因となっていないかについて確認するとともに、当該要因となっている場合においては、改善のための措置を講ずること。

(6)職場単位ごとの割増賃金の予算枠や、時間外労働の目安時間の設定などは、労働時間の適正な把握を阻害する措置と思うが、どう考えられるか。

 自己申告による労働時間の把握が、曖昧な労働時間管理の原因の一つとして指摘されておりますが、職場単位ごとの割増賃金の予算枠や、時間外労働の目安時間の設定などは、労働時間の適正な把握を阻害する措置であります。この自己申告制と予算枠・目安時間が結合されますと、予算枠を超えた申告は認めないとか、最悪の場合、枠を超えた申告者に対して賞与を減額する、昇給昇格で差別するなどの不利益な取り扱いが生じることも指摘されているところであります。
 市は、職場単位ごとの割増賃金の予算枠や、時間外労働の目安時間の設定などについて、どう考えておられるかお答えください。