2000年9月定例議会
一般質問原稿


2000年9月11日〜27日

目次

1.市町村合併について
 (1) 「地方分権の受け皿としての市町村合併」といわれるが、地方分権を推進するためには市町村合併が必要と考えているのか。
  @ どんなに小さな市町村でも十分な行政運営ができるように権限と財源を地方に委譲するのが、地方分権の真のあり方ではないか。
  A 地方分権と市町村合併とは、本来別のものではないのか。
  B 合併せずとも広域行政で対応できるのではないか。
  C 住民参加という点からは、狭域の方が効率的ではないか。
 (2) 地方自治は住民自治が基本であり、市町村合併にあたっては住民意思を尊重すべきではないか。
  @ 市町村合併は、住民にとっては自分たちの住む自治体の形をどうするかということであるから、住民が自主的に判断できるように、市町村合併についてのメリット、デメリットを含めた様々な情報を住民に提供すべきではないか。
  A その上で、住民の意思を集約するために、住民投票を実施すべきではないか。
 (3) 上越市と三和、牧、清里の三村が合併にむけて話し合う「事務局レベルの勉強会」が1月以来開かれているが、どのような協議が行われているのか。
  @ 協議された内容を公表すべきではないか。
  A 年内に「一定の方向性を出す」ことができるのか。
 (4) 市町村合併の推進のために、県のヒアリングが行われたと聞くが、上越市はどのように回答したのか。
  @ 平成11年12月の全国町村長大会における緊急決議、本年7月の全国町村会の緊急要望について、どう思うか。




1.市町村合併について

 昨年7月、分権一括法が成立・施行されました。その中に「市町村の合併の特例に関する法律」いわゆる「合併特例法」の改定も含まれておりました。
 地方自治体数は、1889年(明治22年)の大合併でそれまで7万あった自治体が1万6千弱になり、昭和30年前後の大合併で約1万の自治体が4千を割るところまで減少し、その後の様々な合併により、現在、3200程に減少しております。それを1000程度にまで減らそうというのが、「平成の大合併」のねらいともいわれています。前2回の大合併が、国主導で行われたのと同様に、今次の合併もまた、自治省の強力な指導のもとで進められているのが特徴です。自治省の指導のもとで、新潟県もまた強力な指導を展開しようとしております。
 これらの動きに合わせて、上越地域でもいくつかの動きがあります。中でも「上越市と牧、清里、三和の三村が合併に向けて話し合う、事務局レベルの勉強会が1月28日、上越市内で開かれた」ことが報道されましたが、その後の動きについての報道は見られません。
 概して合併に慎重な首長が多い中で、合併推進論者と見受けられる宮越市長に、市町村合併についての見解を伺いたいと思います。

(1) 「地方分権の受け皿としての市町村合併」といわれるが、地方分権を推進するためには市町村合併が必要と考えているのか。

 憲法の地方自治の原則、それを具現化した地方自治法で明記された「地方自治の本旨」からすれば、地方分権は大いに推進しなければなりません。わが党は、地方自治は平和、国民主権などとともに日本国憲法の重要な特徴と考え、将来にわたって拡充していく必要を強調しています。
 地方自治体は国の出先機関ではありません。機関委任事務などの廃止は当然です。分権一括法では、自治体の仕事を、法廷受託事務、自治事務に区分けしましたが、十分ではありませんでした。その上、税源委譲が行われなかったことが、大きな問題です。
 本来、地方分権と市町村合併とはまったく別の問題です。しかし、今いろんなところで、「地方分権の受け皿としての市町村合併」ということがいわれています。市長も「地方分権を推進するためには市町村合併が必要と考えているのか」お聞きしたいと思います。

@ どんなに小さな市町村でも十分な行政運営ができるように権限と財源を地方に委譲するのが、地方分権の真のあり方ではないか。

 99年10月17日付けの「朝日新聞」によりますと、合併特例法の施行にあわせ自治省は、「地方交付税の算定方法を見直し、人口が4000人未満の町村への配分を…削減している」と報道されています。これは、「権限と財源を地方に」という地方分権に逆行するやり方です。この記事では「全国町村会の前会長である群馬県上野村の黒沢丈夫村長は、『きめこまやかな対応のために補正(中小自治体に厚く配分するということ)は必要、と言い続けてきた自治省がなぜ急に変わったのか。一方で政府は合併促進のための財政優遇措置を打ち出しており、アメとムチの両面から合併を進めるのが狙いとしか思えない』と批判している」。この批判は当然です。
 どんなに小さな市町村でも十分な行政運営ができるように権限と財源を地方に委譲するのが、地方分権の真のあり方ではないかと考えますが、市長の考えをお聞かせください。

A 地方分権と市町村合併とは、本来別のものではないのか。

 例えば、自治省が「国として作成する合併推進のための指針を作成」するために設けられた「市町村合併研究会」の報告書は、地方分権の推進について、「地方分権の推進はいよいよ実行の段階を迎えている。自己決定・自己責任の原則の下、住民に身近なサービスの提供は地域の責任ある選択により決定されるべく、個々の市町村が自立することが求められる。そのためには、政策を立案し、それを議会・住民に分かりやすく提示しつつ理解を求めることができる能力や、自ら選択し推進していく事業を裏付ける税財政基盤など、市町村の行財政基盤の充実が喫緊の課題となっている」と地方分権そのものについて述べていますが、これは正しい指摘です。
 この指摘からも明らかなように地方分権と市町村合併とは本来別の問題です。にもかかわらず「地方分権のためには市町村合併を」と結びつけるのは、あまりにも短絡的ではないでしょうか。市長の考えをお示しください。

B 合併せずとも広域行政で対応できるのではないか。

 広域で処理しなければならない仕事が増えてきています。「市町村合併研究会報告書」は、「市町村行政の広域化に当たっては、市町村の枠組みの変更を伴う市町村合併という方策によるほか、一部事務組合や広域連合などのような市町村の枠組みの変更を伴わない広域行政に関する諸制度を活用して、事務の共同処理を図ることも考えられる。」と述べています。そして「実際、一部事務組合などによる事務の共同処理は、すでに幅広く行われ、一定の成果があげられてきたところである。」と、有効性が強調されています。ゴミ処理などでは、広域行政組合などが活用されていますし、今年4月から始まった介護保険でも、広域連合が各地に作られています。
 平成11年8月6日に自治省から出された「市町村の合併の推進についての指針」などで「合併を通じて実現すべき目標」に掲げられているものは、実際すでに広域行政組織で十分実現されているものです。広域行政ではなくなぜ合併か、市長の考えをお聞かせください。

C 住民参加という点からは、狭域の方が効率的ではないか。

 昨今の市町村合併の論議は、行政の効率化という視点からのみ論じられています。しかし市町村を構成するのは住民であり、住民こそ主人公です。住民がいかにして行政に、政策立案に参画できるかという住民参加、住民自治という観点からの接近が必要です。現在の市町村合併論議には、このことがすっぽり抜け落ちています。
 先に示した「市町村合併研究会報告書」でも、「市町村と地域社会との関係についてみれば、例えば、人口が少ない小規模町村においては、市町村の区域と地域社会との区域とがほぼ重なり合っており、一人ひとりの顔が見える中でのぬくもりのある行政が展開されているとされ、そうした行政が、市町村合併により実施できなくなるのではないかと懸念する声がしばしば聞かれる。」「市町村の規模の拡大により、行政との距離が遠くなるのではないかとの懸念が生じる場合がある」と述べているほどです。
 住民参加という点からは、広域よりも狭域の方が効率的ではないでしょうか。市長は、どのようにお考えでしょうか。

(2) 地方自治は住民自治が基本であり、市町村合併にあたっては住民意思を尊重すべきではないか。

 「市町村合併研究会報告書」が、「何よりも、市町村合併は、関係する市町村が決定していく問題であり、その決断は地元住民の考え方を十分踏まえて行われるべきものである」と述べているのは当然のことです。
 後にあらためて見解をお聞きしますが、平成11年12月の全国町村長大会における緊急決議、本年7月の全国町村会の緊急要望でも、「市町村合併について、地域住民の意思を十分に尊重する」ことを求めています。
 地方自治は住民自治が基本であり、市町村合併にあたっては住民意思を尊重すべきですが、市長はどのようにお考えでしょうか。

@ 市町村合併は、住民にとっては自分たちの住む自治体の形をどうするかということであるから、住民が自主的に判断できるように、市町村合併についてのメリット、デメリットを含めた様々な情報を住民に提供すべきではないか。

 住民の意思を尊重する上で行政がやらなければならないことがあります。
 「市町村合併研究会報告書」は「市町村が、議会や住民に対して十分な情報提供を行うと共に…」「市町村は、自らの地域の現状及びあるべき姿について…その内容を住民に分かりやすく示すことが重要である。」と述べています。市町村合併は、住民にとっては自分たちの住む自治体の形をどうするかということですから、住民が自主的に判断できるように、市町村合併についてのメリット、デメリットを含めた様々な情報を住民に提供すべきです。
 市長にその考えがあるかどうか、お示しください。

A その上で、住民の意思を集約するために、住民投票を実施すべきではないか。

 住民こそ主人公です。地方自治体の主人公は、決して首長や議会ではありません。その主人公である住民が意思を決定するためには、十分な情報提供のもとで、住民の意思を集約する機会が与えられなければなりません。
 その住民の意思を集約するために、住民投票を実施すべきではないでしょうか。

(3) 上越市と三和、牧、清里の三村が合併にむけて話し合う「事務局レベルの勉強会」が1月以来開かれているが、どのような協議が行われているのか。

 最初にも述べましたが、1月29日のマスコミで、「上越市と牧、清里、三和の三村が合併に向けて話し合う、事務局レベルの勉強会が1月28日、上越市内で開かれた」ことが報道されました。その中では、「勉強会は今後、1ヶ月おきに開かれ」るとされ、市長は「話し合いの立ち上げまでは難しいが火がついたら早いもの。21世紀に入ったらすぐに動けるようなスケジュールにしたい」と述べたと書かれています。
 その後報道はされていませんが、7月末までに、実務担当者の会議である作業グループ会議が6回ほど、課長・係長レベルの会議が7回ほど開かれて、一市三村の事務上の比較が行われ、これらの結果を踏まえて助役が参加する第4回目の会議が、7月17日に開かれているといわれております。
 これまで述べてきましたように、市町村合併については住民の意思が十分反映されなければなりません。そのためには、積極的な情報公開が必要ですが、これまでの他の地域での合併協議では協議が住民に秘密裏に行われ、協議内容が住民にまったく知らせずに「ある日突然、合併協議会設立」というパターンが多いようです。「開かれた市政」を標榜する上越市です。これまでの勉強会でどのような協議が行われてきたのか、明らかにしてください。

@ 協議された内容を公表すべきではないか。

 先にも述べましたが、市町村合併は、住民にとっては自分たちの住む自治体の形をどうするかという重大な問題です。住民が自主的に判断できるように、市町村合併についてのメリット、デメリットを含めた様々な情報を住民に提供すべきです。それでこそ「開かれた市政」です。これまで三村と協議してきた内容を、そして今後の協議についてもその内容を公表すべきです。
 市長にその考えがあるかどうか、おたずねします。

A 年内に「一定の方向性を出す」ことができるのか。

 1月の報道で市長は、「21世紀に入ったらすぐに動けるようなスケジュール」といわれていますが、これは、年内に一定の方向性を出すということになります。実際に可能なのかどうか、現状を明らかにしてください。

(4) 市町村合併の推進のために、県のヒアリングが行われたと聞くが、上越市はどのように回答したのか。

 自治省は、平成11年8月6日付けの「市町村合併の推進についての指針」で、「市町村の合併の推進についての要綱」を「平成12年度中のできるだけ早い時期に」策定することを都道府県に指示しています。大部分の都道府県でこの要綱が作成されましたが、いつもはいの一番に作成する新潟県で未だ作成されていません。今年末までに作成し自治省に提出する方針といわれ、この策定に資するために、県が市町村長の意見を聞くヒアリングが8月末までに行われたと聞いております。
 市長は、このヒアリングでどのような回答をしたのでしょうか。明らかにしてください。

@ 平成11年12月の全国町村長大会における緊急決議、本年7月の全国町村会の緊急要望について、どう思うか。

 98年(平成10年)4月に出された地方制度調査会の答申は、「市町村の合併は、地域の在り方にかかわることであり、地域の将来やアイデンティティ、住民の生活に大きな影響を及ぼすことがらであることから、その推進に当たっては、市町村及び住民が自主的に判断することが重要である。」と要求しています。地方自治の原則という点から見て重要な指摘です。
 これと同じ観点から、全国町村会は再三にわたって国に要望しています。最近では、平成11年12月に全国町村長大会で「市町村合併に関する緊急決議」がなされ、「それぞれの町村は、歴史的な経緯、文化、風土や地理的条件等が異なっており、市町村合併は、将来にわたる地域のあり方や住民生活に大きな影響を及ぼす事柄であるので」「市町村合併について、地域住民の意思を十分に尊重する」ことを求めています。また、本年7月には「市町村合併に関する緊急要望」が決議され、「市町村合併は、…自主的に行われるべきものであり、地域の実情を無視した性急な合併は、…絶対に行うべきではない」「国においては、市町村合併を進めるにあたって地域住民の意思を十分尊重し、真に自主的なものとなるよう強く要望する」と述べております。
 このような全国町村会の緊急決議、緊急要望についての考えをお聞かせください。