98年6月定例議会
反 対 討 論 原 稿


1.議案第56号 「職員の退職手当に関する条例の一部改正について」
2.議案第63号 「上越市企業振興条例の一部改正について」


 私は、日本共産党議員団を代表して、議案第56号「職員の退職手当に関する条例の一部改正について」と、議案第63号「上越市企業振興条例の一部改正について」に対し、反対の立場から討論を行います。


1.議案第56号 「職員の退職手当に関する条例の一部改正について」

 まず、議案第56号「職員の退職手当に関する条例の一部改正について」であります。

 現在の雇用情勢ですが、9兆円にものぼる国民負担増など政府自民党の失政によって、たいへんな不況の嵐が吹き荒れております。そうした中、ご承知のように最近発表された完全失業率が、4.1%約280万人にもなっています。実は、この完全失業率の失業者に加わるには、月末の1週間まったく失業していて、かつ求職をしていなければならないなど、たくさんの条件があって、大学受験よりも難しいといわれるほど、たいへん難しく、欧米諸国の統計の何分の一かだといわれています。
 こうしたことから、「今失業するとたいへんだ」ということが、多くの労働者の意識のなかにあります。従って、今回提案されております「勧奨退職」が、いわゆる「肩たたき」即ち人員整理なのかどうかということが、大きな問題になるのであります。
 雇用確保についての社会の動きを見ますと、かつて50才定年が一般的でありました。それが、高度成長期の人員の必要性や平均寿命の伸び、それに労働組合などの運動もあって、55才になり、57才になりと徐々に高年齢化してきたのであります。そして、最近では、「定年制を設ける場合は、60才以上」というところまで法整備が進んできました。「65才まで延長すべきではないか」という議論さえ起きてきています。
 こうした雇用と定年制をめぐる動きからして、勧奨退職年齢を45才まで引き下げるというのは、まさに時代錯誤だと言わざるをえません。

 提出された説明資料によりますと、第一に、「公務においても、職員が自らの能力や適性に応じて、主体的に生涯生活設計をすることができるように、早い段階で選択の機会を与える。」ということが述べられており、総括質疑の答弁でも、委員会審議の答弁でも、このことが強調されております。
 そこで勧奨退職ということですが、広辞苑第4版によりますと、「勧奨」とは、「或る事をするようにすすめ励ますこと」となっております。言葉の意味からは、勧奨退職とは、「退職を勧奨すること」、即ち、「退職するようにすすめること」以外のなにものでもありません。ここには「本人の意思での退職」という意味は微塵もないのであります。
 事実、この条例には、「勧奨を受けて退職した者にあっては」という表現が使われており、勧奨退職が自らの意志で退職したものではないことをあらわしております。

 さて、上越市は、先に「助役5人制と、部長の廃止」を検討していることが、マスコミで報道されました。議会には何も示されておりませんが、「市長の意志を、直接末端行政に反映させる」ことがねらいだと、報道されております。
 上越市は、ISO14000、環境管理システムの認証を取得しました。先日の一般質問での答弁で市長自身が述べておりますが、このマネジメントシステムのねらいとするところは、「だれがやっても同じ事ができる」管理システムを構築するところにあります。省エネ、省資源、あるいはハイブリッドカーの導入などは、 ISO1400の管理システムからすれば、本質的な課題ではありません。ISO14000とは、人事管理システムそのものなのであります。さらに、この管理システムの特徴は、トップと末端があればよいというシステムづくりでもあります。中間管理職層不要のシステムといえます。この管理システムが、「助役5人制、部長廃止」と機を一にしていることは明らかです。
 このことが、説明の2番目にたった1行、「職員の年齢構成の適正化」と、さらりと書かれていることの内容であり、これこそが、勧奨年令引下げの真の理由ではないでしょうか。

 総括質疑でも委員会審議でも、行政側は、「肩たたきではない、肩たたきではない」と強調しております。しかし、そのように強調すればするほど、疑念は深まるのであります。行政側がいうように、「肩たたきではない」としましょう。「肩たたきではない」ということは、職員が、「本人の意思」で、市職員以外の道に踏み出すということです。
 この条例改正にあわせて、45才から49才までの「再任用」制度が設けられます。しかし、本人の意思で退職するものに対し、なぜ「再任用」の道を残す必要があるのでしょうか。その上、この「再任用」は、1年毎の更新で、50歳以上には更新しないというものですから、まったく不安定な労働条件といえます。「正規職員を退職させ、嘱託にするのではないか」という不安は、拭いされないのであります。
 民間会社で、退職金を割増しするのは、人員整理など会社都合の退職の場合であり、自らの意志で退職する自己都合退職には、退職金の割増しはしません。これが民間の常識だと思います。市は、「勧奨退職は肩たたきではない」と強調しております。「肩たたき」というのは、民間会社でいうところの「会社都合の退職」ということです。「肩たたき」であれば、退職金を上積みすることは、これは当然ともいえる措置ですが、「勧奨退職は肩たたきでない」といいながら割増し退職金を支給するというのは、勧奨退職が「肩たたき」そのものだからではないでしょうか。
 この改正案でいう勧奨退職が「肩たたきではない」とすると、45歳以上には、いわゆる「肩たたき」は存在しないということになります。45歳以上で自己の都合で退職する職員はすべて「勧奨退職」になるからです。民間では自己の都合で退職するものには、規定の退職金を支払うのみで、上積みはしないということは、先に述べましたが、「肩たたきではない」ということを強調した結果、民間では上積みすることなど考えられない自己都合の退職に、割増し金を支払う制度だということになります。これは到底市民の理解を得ることはできないのではないでしょうか。退職金として支払う原資は、市民の税金です。その税金の使い方として、このような使い方が許されるのでしょうか。

 以上、鏤々述べましたように、勧奨退職制度の在り方からみても、上積み退職金の支払い即ち税金の使い方という点から見ても、到底賛成するわけにはいきません。

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2.議案第63号 「上越市企業振興条例の一部改正について」

 次に、議案第63号「上越市企業振興条例の一部改正について」であります。

 今回の改正は、第一に、これまで、製造業、道路貨物運送業、倉庫業、旅館、ソフトウェア業及び情報処理・提供サービス業となっていた奨励企業の対象業種に、梱包業、卸売業、自然科学研究所を追加するものです。
 もともと企業設置奨励金は、新たに上越市内に進出してきた企業に対し、その固定資産税に対応する奨励金を交付することによって、固定資産税を減免したのと同様の効果を出すことによって、企業進出を促進することを目的に創設されたと聞いております。
 宮越市政のもとで、新たに旅館などが対象業種に追加され、ホテルセンチュリーイカヤなどにも奨励金が交付されてきました。今回また、この対象業種を拡大しようというものです。

 これまでの企業設置奨励金は、市内の特定企業に対し、固定資産税に

第一年度 100/100
第二年度 60/100
第三年度 40/100

の割合を掛けた金額を奨励金として交付するものですが、1989年(平成元年)度から、1996年(平成8年)度までの八年間に、約10.5億円の奨励金が交付されました。この8年間で通算一千万円以上の交付を受けた企業は、12社で、それだけで9億円を超えており、87%にのぼっています。上位五社を見ますと

1 三菱化学 2億5359万円
2 信越化学 1億2943万円
3 三菱電機メテックス 1億2354万円
4 住友金属工業 8193万円
5 デュオセレッソ 7021万円
6 有沢製作所 6232万円
7 上越ワシントンホテル 5334万円
8 ホテルセンチュリーイカヤ 4900万円
9 上越フーズ 3673万円
10 やすね 2347万円
11 イーヤマ 1563万円
12 太平洋特殊鋳造 1302万円

で、6.5億円を超え、63%にもなっています。まさに市内の大手企業を優遇する制度だといわなければなりません。
 私は、一般質問で、「風が吹けば桶屋が儲かる」式の景気対策では、本当に困っている市内の中小零細業者に仕事が回っていかないことを指摘しました。今真に求められているのは、家族経営やあるいは数人の社員で頑張っている業者のふところが直接暖まる、そういう施策です。

 今回新たに、@固定資産の取得額の合計が10億円以上、又は、A事業開始のために20人以上雇用した企業を特認企業として、さらに優遇し、固定資産税に対し、

第一年度 100/100
第二年度 80/100
第三年度 60/100
第四年度 40/100
第五年度 20/100

を掛けた交付金を交付するというものです。
 特認企業の条件の第一は、「固定資産の取得額の合計が10億円以上」というものですが、これだけの設備投資をできる企業に、事実上の固定資産税の減免を使用というもので、益々、特定企業を優遇する制度に変えられようとしているといわざるをえません。
 又、特認企業の条件の第二は、「事業開始のために20人以上雇用した企業」ということです。かつてわが党の議員であった故大滝和司氏が、「奨励企業の雇用人員が本当に増えたかどうか」の調査をしていたことを思い出しております。氏は、「奨励企業の社員数が減少しているのに交付しているようだ」と話していましたが、こうした事が危惧されるのであります。

 このような特定企業を優遇する制度には、日本共産党は賛成できません。

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