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1997年3月議会

一般質問議事録

2.重油被害の費用補てんについて
最初の質問
最初の答弁
再質問
再答弁

【杉本敏宏】
 さて、2番目の質問は、重油被害の費用補てんについてであります。
 1月2日に沈没したロシア船籍「ナホトカ号」から流出した重油が、1月21日夕刻から上越市の沿岸にも漂着しました。この災害に際し、沿岸町内会を初め市民の皆さん、ボランティアの方々、そして市当局、市職員、消防署員など漂着重油の回収に全力を挙げてこられたすべての方々の活動に対し、心から感謝申し上げます。また、1月24日に亡くなられた坂詰一春さんの御冥福をお祈りいたします。

 日本共産党は、この災害に対して、1月13日当上越地区委員会として、直江津海上保安署に対し、流出重油の能登半島越えを阻止する緊急対策の申し入れをしたのを初め、翌14日には市川議長に21日の全員協議会で上越市の対応を説明してもらうように口頭でも申し入れを行いました。浮遊重油が直江津沖間近に迫った21日には、上越市委員会と党議員団が連名で上越市に対し、1、沿岸に流出油が漂着した場合の油塊等の除去について国、県の責任ある対処を要望すること。2、除去作業に当たる要員の費用負担は、市において立てかえ払いをすること。3、対策に当たっている関係者の健康対策に留意することの3点の緊急申し入れを行い、あわせて議会としてやれること、やるべきことの一つとして、対応が後手、後手に回っている政府に対し、きちんとした対応を要請する意見書の提出を申し入れました。
 26日には、日本共産党新潟県議団とも協力し、八千浦、谷浜両町内会長協議会長や直江津漁協組合長、そして上越市の現地本部などで実情調査を行い、29日市内全域から我が党に寄せられておりました市民の皆さんの御意見なども合わせて7項目に集約し、上越市に対して2度目の申し入れを行いました。また、教育長に対しては、漂着重油回収作業への小中学生の参加中止の申し入れも行ってまいりました。日本共産党は、今回の事態を重油流出事故による災害と位置づけ、国に対して災害対策基本法に基づき内閣総理大臣を本部長とする緊急災害対策本部を設置し、縦割り行政を排した一元的な対応をすること、地方自治体や漁協の被害や費用を予備費なども使って補償することなど、必要な災害対策を実施するよう国会議員、県会議員、市町村議会議員挙げて迫ってまいりました。

 さて、2月2日のマスコミ報道によりますと、「補償問題クローズアップ」、「重油被害取り組みで意見割れる」との見出しで、「1月31日に上越市役所で開かれた上越地方市町村連絡協議会の理事会の場に顔を合わせた被災海岸を抱える首長たちの間でも、補償対策の取り組み方で意見が分かれた」との記事が掲載されました。この記事の中で、「市長は海難保険での経費負担を原則とすべきと繰り返し主張している。原因者負担の完全補償の行方が不透明なことにも触れ、そうなった場合初めて特別交付税や災害補償の考えが出ていいのではないかなどと手順を問題視」と報道されております。

 今から二十数年前になりますが、新潟港の沖で石油タンカー「ジュリアナ号」が座礁し、新潟の沿岸を汚染した事件がありました。
 この「ジュリアナ号」事件、被害補償には多くの時間と労力を要したと県の報告書に記録が残されております。県や新潟市の費用補てんは、一、二年でそのめどがついておりますけれども、漁業補償などは3年以上もかかっております。我が党は、こうした経験から除去作業に当たる要員の費用負担は、地方自治体で立てかえ払いをし、この立てかえ分と自治体が要した費用を合わせて国に立てかえ払いをさせることが必要であるとの立場から、1月21日の市長への申し入れでもそのことを要望してきたわけであります。
 1月18日、県環境生活部は、重油除去費用の立てかえ払いを言明し、また27日には国に財源措置を求めることも表明しております。2月12日には、平山県知事が流出油回収などに要した地方自治体の財政負担について、特別地方交付税と災害対策基本法に基づく予備費の支出で国が立てかえするよう国に要望する意向を表明いたしました。

 船主保険での補償はどれくらいになるのかというのがもう一つ問題であります。
 船主保険のことですが、海難事故については基本的には船主が事故で生じた被害に対して責任をとることになっております。しかし、タンカー事故の場合には、補償が巨額になるために船主を保護する目的もあって、船主の補償責任を一定の限度内に限るようになっております。そして、それ以上の部分については、国際油濁補償基金が負担することになっていますが、この基金の運用のために油濁民事責任条約(CLC条約)と油濁補償基金条約(IOPC基金条約)に加盟することになっているわけであります。
 さて、船主保険で支払われる補償額は、CLC条約ではトン数に応じて決められており、今回の場合は数億円にしかならないと言われております。基金からの補償も基本的な金額は、船舶の大きさによって決まり、被害の大きさで決まるんではないんです。ロシアが加盟する旧条約の場合、上限が95億円程度、日本が加盟している新条約が適用されたとすれば200億円程度というふうに見られております。補償額は、漁業補償だけではなく、汚染除去費用や環境被害補償などすべてを含んだ額で、決まった補償額以上については泣き寝入りということになります。既に県と市町村が回収に要した経費は、2月13日の報道では8億円に達すると言われておりますけれども、上越市の回収費はその後新聞報道では3億3,000万に上るというふうに言われておりますから、県の発表数字が増額するのは明らかであります。そして、新潟県の被害よりも石川、福井、向こうの方の被害の方が明らかに大きいわけでありますから、この補償される額がこういう各府県、それから国とで分けるということになるわけであります。被害がまとまってからの補償交渉は、これまでの例では1年半、長いもので3年もかかっており、規模が大きいほど時間がかかるのが実情です。
 我が党が1月21日に上越市に立てかえ払いを求めたのは、こういう背景があってのことであります。報道されているように船主保険とか原因者負担の補償の後で災害補償をという考えは、結局今すぐ必要な資金手当てをしないということになるのではないでしょうか。上越市は、重油回収作業に当たって、いち早く町内会やボランティアが要した費用や道具は自分持ちということを打ち出しました。これは、国に財政支出を要求しないことから出てくる考えではなかったのでしょうか。市民に対し、「かかった経費は、一切上越市が立てかえますので、頑張ってください」。こういうふうに言うのが、自治体の本来の姿勢ではないかと思うのであります。市長の真意をお聞かせいただきたいと思います。
 また、この同じ記事の中で、「主張の側面には、政府の命運をかける財政改革の最中に、国内手当になる安易な特別交付税による措置は筋違いとする視点があり、税金使途は国民の理解を得られないと懸念する」とも報じられております。果たしてそうでしょうか。阪神・淡路大震災の被災者に対する補償など、「国がその責任を果たせ」という声は、国民の中に強くあります。マスコミが報じる油をひしゃくですくう住民の姿を見て、多くの国民の方々は国の対応にいら立ちを感じております。税金を使うことには理解が得られるのではないでしょうか。税金使途が国民の理解が得られないのは、住専への税金投入や政党が税金を山分けする政党助成金など、こういうものに対して理解が得られないのではないかと思うのであります。もしかして市長は、災害補償とこれらを同一視しているのではないでしょうか。税金使途は、国民の理解を得られないと懸念する理由についてお答えをいただきたいと思います。
 以上です。

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【宮越市長】
 次に、重油被害の費用補てんについての御質問でございますが、1点目の海難保険で経費負担を原則とすべきで、その上で特別交付税や災害補償の考え方が出ていいのではないかということでございますが、その真意はということでのお尋ねであります。
 今回の重油流出事故災害については、これまで繰り返し申し述べておりますように、事故の原因者がはっきりと特定できるものであるということであります。ここが非常に特徴的でありますから、ここを外して議論はできないわけであります。すなわち、今回の事故は、1月2日に島根県沖でロシア船籍タンカー「ナホトカ号」が沈没したことによる重油流出事故災害であることは御案内のとおりであります。そして、私が1月31日にロシア大使館に要望書を持参いたしましたが、その際に対応されたガルージン参事官もこのことを認めて、深く遺憾の意をあらわしております。今回のケースを今の交通社会における例に例えて言えば、とまっている車に相手がぶつかってきたと、自分の家に暴走車が突っ込んできたという場合と同じようなもので、このような事例では100%加害者の責任による補償になることは言うまでもないと、こう思っています。

 ところで、当市における今回の漂着油の回収作業に要した直接及び間接経費等損害額は、3億円余となっておりますが、この金額を事故の原因者に請求するのが当然と考えております。ところが、国の考え方として補償請求には全く触れず、すべて交付税で対応するかのような説明が早い時期に大きく報道されたため、私もかつて国の予算の編成に携わっていた者としては、私が認識している特別交付税の本旨から考え、大きな疑問を感じたところでございます。そうした中で、上越地方市町村連絡協議会の理事会があり、国、県への要望事項を取りまとめた際に、今回の事故災害は原因者がはっきりしているがゆえに、第一義的には事故原因者に補償請求をすべきであるとの基本的な考えに基づいて私の見解を申し上げたまでのものであります。
 なお、このことは1月31日に私がロシア大使館を訪れた際、ガルージン参事官に原因者が自己責任において完全に補償補てんするよう直ちに働きかけてほしい等の要望も直接申し上げ、参事官もその趣旨をよく理解されて、そのように対応する旨の回答をいただいたことも改めて申し添えます。
 また、万一事故原因者から十分な補償がなされなかった場合、ここが問題です。今回の事故は、公海上で発生したことによる被災であり、その被害も大変広範囲にわたっている状況からかんがみて、不足となるだろうと想定される部分については、まだ終わってませんけど、仮に完全補償されない場合は、その不足部分については全額国で補てんしていただくという考え方から、今回の事故を災害として取り扱うようあらゆる機会に強く要望してきていることも御承知おきいただきたいと思います。

 次に、2点目の税金の使途が国民の理解を得られないというのはなぜかということでありますが、若干私が言っているのとちょっとすれ違い的なところもあるようでありますが、今ほど答弁申し上げたように今回の事故が原因者がはっきりしていることであるにもかかわらず、国民の税金である交付税で率先して対応しようとする考え方は、国民の立場からしても国民の理解が得られないのではないかという、率直に感じ取ったことを申し上げたまでであります。国内における大規模な自然災害のように、その災害復旧等に要した経費を他に得ることがない場合、そういう手段がない場合等には交付税対応も当然国民の理解が得られるものと思えますが、今回のような場合に「初めに交付税ありき」という論旨は不適当であって、混乱を招くようなことになりかねないものであると考えているところであります。
 以上です。

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【杉本敏宏】
 さて、重油被害の問題ですけれども、2月5日の新潟日報の報道によりますと、「白川自治大臣がタンカー重油流出事故で地元自治体が重油流出事故に伴う被害の補償を国に要望していることについて、一義的には船主保険などで出してもらう。自治省が当てにされているが、本来請求すべき人に請求すべきだ」と述べて、「請求して取れませんでしたというのなら措置すると述べ、船主保険などとの交渉の結果を見て判断する方針を明らかにした」と報道されております。ここには、今回の災害に対して国が全面的に被害補償をし、経費を補てんするという考えは全くありません。白川自治大臣は、当初は特別交付税の補てんを明言し、国の責任を一定程度認めていたことから見ても、大幅な後退だと思うわけであります。もちろん特別交付税での措置ということには問題がないわけではありませんけれども、こういう後退した、国の責任を放棄する発言をするようになってしまったわけでありますけれども、しかし考えてみますとこの白川自治大臣の発言内容と宮越市長の言っておられることとが何と似通っていることかというふうに思うわけであります。それで……違うというふうに横で言っておられますけれども、新聞に載っている報道から見ますと、全く同じように見えるわけであります。そういうことで、私は国が災害補償という立場、国の責任をきちっとはっきりさせて予備費などでも措置をするということをこれからも要求していきたいと思いますし、上越市もそういう方向で奮闘いただきたいと思います。

 さて、最後になりますが、1月28日水産庁では、漁業者などの方々の被害でもっていろいろな支出があって、借金返済等が大変になっているということに対して低利融資を創設するというふうに表明されております。そこで、上越市の沿岸の漁業者や民宿あるいは浜茶屋などでも多大な出費が強いられていると思うわけでありますが、上越市としても独自に低利の融資を創設すべきではないかと思うのでありますけれども、最後にこの点、市長のお考えをお聞きしたいと思います。
 以上です。

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【宮越市長】
 それから、重油被害の被害補償の話については、これは基本的には全額補償補てんなんですよね、間違いなく。しかし、そうも言っておれないという現実的な問題が出てくるだろうというときに、民主主義ですから手順を追って国の税金、国民の税金をどう使うかということでありますから、納得のいくそういうプロセスを踏みながら使っていくということが私が非常に重視している考え方の一つであります。ですから、初めに今おっしゃったように、某大臣が特別交付税で見るからと言うと、何となくそういう被災を受けた自治体の皆さん方はほっとしちゃって安心しちゃうわけです。ところが、視点がずれちゃうわけです、それは。だから正しく見れる目がぼやかしてしまうという、そういうおそれがあるからそれは違いますよと、こう私は言ったわけです。それを受けて訂正されたのかどうか知りませんが、その過程にまたボランティアとかいろんな方々が着るものとかいろいろと資機材を備えるときにも、そういう経費も一切合財国が見たっていいじゃないかという途中の発言があるんですよ。だったら、最後までそういう貫徹するような考え方で、政府としては考え方を申し上げればいいじゃないかということが、今おっしゃった自治省が当てにされているようだが、全部は難しいようなニュアンスが出てきたことは間違いないんですね。これに対して私は怒っているんですよ。そういうこととは違うということを私は申し上げたわけです。だから、これはもう完全補償補てんなんですよ。ということで、政府も最後までぎりぎり、一切直接経費、間接経費問わず、先ほど話にありましたようにボランティアとしてみんな自弁でやれと、仮に途中的にそういう話があったとしても、最終的にはそういう間接経費も全部見てくれよというのが私の基本的な考え方でありますから、これは最後まであきらめずに3億何がしかの費用は要求していくということに変わりないことを申し上げておきます。

 それから、低利融資の話については、これはもう既に私指示をしておりまして、条件等については今研究をしている段階でありますが、こういった融資は、制度は導入しなきゃならんというふうに思っています。
 以上です。

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